杖立権現越

Cycling Course Guide

杖立権現越(杖立峠)をコース紹介で採り上げることについては少々悩んだ。これまでに紹介してきたコースと違って誰にでも勧められる道ではない。超がつく激坂でおまけに道幅が狭いうえに路面が荒れている。もちろんロードで走れない程ではないが、通れるラインが限られるので、苦しいからといって蛇行したりはできない。このコースは通常の練習コースに飽きた者がトライするマニアックなヒルクライムである。

坂本側の登り 口
登り始めはこんな感じ

徳島方面からだとまず、国道55号を南下し、県道16号徳島上那賀線で勝浦川沿いに上流に向う。横瀬橋を渡りさらに3kmほど進んだところで、坂本の集落へ向う旧道へと入る。旧道は緩やかな登り坂で、700mほど進むと佐那河内と書かれた看板が現れる。ここが杖立峠に向う入口。看板に従い細い道へ入るといきなり厳しい登りが始まる。周囲一帯はみかん畑。展望は良好で、今さっき登ってきた道が下に見えている。途中2箇所ぼど分岐があるが、「佐那河内」の看板が出ているので、間違うことはない。分岐を過ぎた後もぐんぐん登っていく道はみかん畑スカイラインとでも呼びたくなる。登るにつれてさらに展望が良くなり、快調とはいかないかも知れないが、なかなか雰囲気のいいところだ。

3度めの分岐、舗装はコンクリートに
激坂…でも、以前より登りやすくなった

しかし、雰囲気を味わっているのもつかの間、3度目の分岐からはアスファルトからコンクリート舗装に変わる。ここからがみかん畑の最上部で、最も勾配の厳しい区間。思わず「これは自転車では登れないかも知れない!」と思ってしまうほどの勾配が出現する。しかも状態の悪いときには、道の中央部に石が積もっており、轍(わだち)の部分しか通れない。シッティングではまず登れないので、立ち漕ぎになるが、止まりそうなスピードになりながらも、轍から外れないようにまっすぐダンシングするしかない。部分的ではあるが、恐らく勾配は20%を越えており、勝浦側から登る鶴林寺の一番急な部分よりさらに急勾配である。ギヤは後ろが25T以上、できれば27Tがほしい。  

擁壁に手書きの道案内
延々続く杉林区間

激坂をなんとかクリヤーすると、道はみかん畑から杉林へと入って行く。木に囲まれて展望はなくなるが、勾配は相変わらず厳しい。立ち漕ぎばっかりになって、なかなか座れないので、時折勾配が緩くなる箇所ではなるべく座るようにしたほうがいい。路面には杉の枝がいっぱい落ちていて。迂闊に葉が降り積もった上などで踏み込むと後輪が空転する。ここでもできるだけ轍の部分を通るようにする。  

杉林に入って約1.8kmでコンクリート擁壁のあるT字路に行き当たる。擁壁には手書きの道案内がある。ここは案内に従って左へ。(右へ行くと婆羅尾峠へ出られるが、MTBのコースである。)きびしいかった登りもここまで。ここからは立ち漕ぎを強いられる急勾配は少なくなる。とはいえ、道は相変わらず薄暗い杉林の中。景色が変わらない中を淡々と登っていると、何だかエッシャーの無限階段を登っているような気になる。先程のT字路から杖立て峠までは約3km。峠が近づくとようやく杉林を抜け、明るい道になる。鋭角にターンすると400mほどで尾根筋の大川原林道と合流する。ここが杖立峠。木立を抜けて広い道に出ると、まるでトンネルから出てきたような感じがするだろう。位置は徳円寺の真上になる。峠は四国のみちの案内板がある以外は特に何もない。一休みしたら、そのまま徳円寺の方へ下ればよいが、余裕があれば(?)、大川原まで足を伸ばすのもいいだろう。

ここは下界を見下ろす窓
杖立峠、左は大川原、右は徳円寺

杖立権現越の登りは大別して激坂の“みかん畑区間”、T字路までの“杉林前半区間”、T字路から峠までの“杉林後半区間”に分かれる。景色がいいのは“みかん畑区間”で残り3分の2は薄暗い杉林の中となる。激坂ではあるが、光が射さない区間の長いコースは意外と夏向きかも知れない。

大川原高原へはこのほか、コース紹介にも載せている最も一般的なコースを初め、徳円寺側から、上勝の慈眼寺側から、神山側から、それぞれ登るルートがある。