山川町の高越山はその端正な山容から阿波富士と呼ばれている。その高越山から南東に伸びる稜線上につつじの大群落がある。船窪つつじ公園で国の天然記念物にも指定されている。毎年5月中旬になると山頂一帯が赤い花で覆われ、多くの見物客が訪れる。しかし、自転車でこのツツジを見に来ようとすれば、激坂が待ち受けている。
 徳島市内からだと、山川町まで国道192号線を西に向かい、山川町で左折するのが一般的。しかし、国道438号線でいったん神山町へ向かい、柳水庵を越えるか、県道43号線で美郷村に抜ける方が変化に富んでいる。峠越えとなるが、足慣らしにはちょうどいい。
 美郷で国道193号線に出たら北へ。途中で県道248号線に移りつつじ公園を目指す。ふいご温泉を通過したあたりから徐々に勾配がきつくなってくる。小さなトンネルを抜けるといよいよ激坂が始まる。ここの登りは急な勾配が連続し、足を休める区間がないうえ、距離も長い。まさに県内屈指の登りであり、激坂度としては佐那河内村の大川原高原よりもワンランク上である。
 こんな激坂でもよくトレーニングができていれば、それなりのリズムで登っていけるが、そうでなければ、“殺人的”に苦しい。特に真夏ともなれば、頭もフラフラで思わずぶっ倒れそうになる。
 あえぎながら登っていくと、ようやく
7合目あたりで山川少年自然の家に
到達する。ここから先は勾配がゆる
くなり、難行苦行も終わりに近づく。
ツツジ祭りの時に使用する広い駐車
場を過ぎ、杉木立を抜けると、ツツジ
の大群生が現れる。

 頂上からは西方の視界が開け、
剣山系の山々を指呼することができる。残念ながら南側はツツジの木で、展望はない。やはり、ここを訪れるベストシーズンはツツジの花の咲く頃である。下界では暖かくても、山の上は肌寒いので、ウインドブレーカーは必携。下界では暖かくても、山の上は肌寒いので、ウインドブレーカーは必携。