コース難易度:4
体力レベル:4

峠手前の見晴らしのよいポイントから、三加茂町を望む

徳島市内〜(国道192号線経由)三加茂町〜桟敷峠〜六地蔵峠〜土々呂の滝〜半田町〜徳島市内

 国道192号線で徳島から三加茂まで足を伸ばすと片道約61km。これは徳島-日和佐よりも遠い。そう考えると、ちょっと大層な距離かも知れない。さらにまだその先に標高1,000mを越える桟敷峠があるのだから、サイクリングコースとしてはなかなかハードといえるだろう。県西部に向かうサイクリングコースには「猪鼻トンネル越え長田うどんツアー200km」というのもあるが、桟敷峠はエネルギー消費的にはそれと同等、もしくはそれ以上である。

 まず、徳島市内を出たら、国道192号線をひたすら西に走る。通過する町は石井、鴨島、川島、山川、穴吹、貞光、半田である。若干のアップダウンがあるが、概ね平坦。沿道にはコンビニが点在するので、補給にはこと欠かない。三加茂駅を通過すると間もなく県道44号三加茂東祖谷山線の入口がある。標識に従い左折し、三加茂町役場の前を過ぎると、前方の谷の奥に高い山が見えてくる。風呂塔(フロント・標高1,402m)である。桟敷峠はその手前にある。

 県道に入ると、最初は緩やかな登り基調の道だが、山懐へ入っていくにつれて勾配がきつくなってくる。やがて民家も消える頃にはつづら折りの激坂となって、インナー×ローで喘ぐようになる。激坂度は山川の「船窪つつじ公園」と同等で県内最高クラス。39T×25Tで登れないことはないが、できればリヤは27Tがほしい。

 急勾配に耐えながら登っていくと、徐々に気温が下がってくるのを感じる。途中、道の崖側が開けて、三加茂町が見下せるポイントが数カ所ある。遥か遠方には香川との県境の大川山(1,043m)を望むことができる。疲れていても景色を眺める余裕くらいは残しておきたいものだ。
 登りが大詰めにさしかかると、少し勾配が緩くなってくる。さらに進むと、唐突に桟敷峠の標識が現れ、ようやく難行苦行から解放される。

 峠の標高は1030m。東祖谷山村へ抜ける県道と半田町へ下りる道との三叉路になっている。東祖谷側に抜けると県内屈指の展望の落合峠がある。ここに紹介するコースでは桟敷峠から半田町方面へ下ることにする。風呂塔キャンプ場の入口を通過し、尾根伝いに緩やかに下っていくと水の丸公園を経て六地蔵峠に至る。このあたりは水の丸高原と呼ばれ、高原野菜の栽培が盛んなところ。眺めのいいポイントでもあり、高越山、剣山、黒笠山などの山々が展望できる。

 六地蔵峠には6体の小さなお地蔵さんが祭られている。その昔、屋島の合戦で源氏に破れた平家の武士が落ちのびていく途中、荷物運びのために雇っていた6人の村人をここで口封じのため斬り殺し、後になって供養のためにお地蔵さんを祠ったことがその名の由来となっているそうだ。

 平家の落人伝説に思いを馳せ、景色を楽しんだ後は六地蔵峠の分岐を右に取り、坂道を一気に下っていく。つづら折りが終わり谷沿いの道になると間もなく小さな滝があって、静かに流れが落ちている。そのすぐ先に、大きな土々呂の滝が現れ、さっきの滝とは対照的に音を立てて流れ落ちている。滝壷は道路から少し離れるが、自転車で入っていけるので、是非間近まで行って見ておきたい。落差約30mで水量が多く、滝壷も広い豪快な滝だ。滝を見た後は、きれいな渓谷に沿って半田町まで下る。国道192号線に出たら、一路徳島市内を目指す。走行距離約160km。

 本コースはハードながら、見所が多くオススメ。紹介したのとは逆に半田町側から登るのも良い。特に紅葉の時期は最高である。
国道192号線から県道44号線県道に入ったところ
前方が風呂塔&桟敷峠
桟敷峠手前にて

土々呂の滝
桟敷峠 六地蔵峠