( お お ご え )

コース難易度:4
体力レベル:4

 県南は山が多く道路もアップダウンに富んでいるが、大きな峠は意外と少ない。そんな中で県道36号日和佐上那賀線は霧越峠のある国道193号線と並んで県南の本格的なヒルクライムコースのひとつ。


 徳島方面から大越に向かう場合は国道55線を南下し、日和佐町の薬王寺の手前にあるローソン前の信号を右折する。このローソンを過ぎると店がなくなるので、補給をとっておくことを勧める。国道55号からの分岐を起点に那賀町小浜で国道195号に出てくるまでが県道36号日和佐上那賀線だ。
 国道から日和佐川沿いに上流を目指すと急に交通量が少なくなって、のどかな雰囲気に包まれる。最初はセンターラインのある広い道だが、途中から1.5車線に狭まり、カーブも多くなる。木々の間から川面を垣間見ながら進んでいくとやがて大越に向かう分岐が現れ、「那賀町」の標識が立っている。右折し日和佐川にかかる橋を渡ると、もはやクルマの通行はほとんどない。川に沿って上流に向かう。道はところどころ木々に囲まれ、陽のあたらない部分ではアスファルトの真ん中に緑色の苔が生えていたりする。
 こんな奥深かい谷間にも数件の民家が点在する。ここは美波町(旧・日和佐町)大越。沿道の果樹園には柚子が植えられていて、収穫期の11月には庭先で柚子を絞っている光景をよく目にする。絞りカスが柚子の木の根元に捨てられていて、あたり一面に柚子の香りがたちこめている。
 さて、民家が消えると道は本格的な登りへと転じる。前半の坂道はきついが後半は若干ゆるやか。登り区間は全長約7km、平均勾配6.4%、峠の標高は約720mで霧越峠より40mほど低い。峠は切り通しになっていてこの道を開設したときの記念碑が立っている。碑文によるとこの道は当初林道として整備されたことがわかる。
 峠からは上那賀町側に下る。いたるところで落石や路面が荒れていたりするので、スピードは控えた方が無難。古びた神社のあるところまで下ると道はフラットになる。その先、国道195号線までは山里をゆるやかな勾配で下っていくのだが、国道まではなかなか出てこられない。途中、深森という地名もあるが、実に奥深い谷である。
 国道195号線に出てくるのは長安口ダム直下で、最後は小浜橋で国道と結ばれている。小浜橋の上流には古い吊橋がかかっていて昔はその橋しかなかったそうだ。一度その吊橋を自転車で渡ろうとしたことがあるが、あまりにも怖くて渡れなかった。まあ、話のネタに見に行ってみるのもいいだろう。小浜橋を渡ったら右折し鷲敷から阿南を経て徳島まで戻る。走行距離約150km。