コース難易度:4
体力レベル:3


 美杉峠はそれほど遠くでもなく、年に数回訪れるが、自転車以外では来たことがない。県内でありながら自転車をやってなかったら、来ることはなかった場所、知らなかった景色がいくつかある。美杉峠もそんな道の代表。
 美杉峠は上勝町と相生町の境にあって、どちらからもアプローチできるが、相生側からの方が登りは厳しい。このコース紹介では基本的に峠は難易度の高い方から登るようにしているので、美杉峠も相生側から登るコースとして紹介する。徳島市内から鷲敷町まではいくつかのルートがあるが、ここでは割愛させていただく。
 鷲敷では大塚製薬鷲敷工場下の橋を通過したら、国道から右折し山道に入る。そのまま真っ直ぐに進んで紅葉川温泉手前で右折するコースの方が単純だが、山道をたどる方が季節を体感できて楽しい。春は新緑、夏は蝉の声に包まれ、柿の実が色付く頃なんかも山里らしい風情が感じられる。アップダウンをこなしながら3つ目の小さなトンネルを通過したら、間もなく紅葉川沿いの道と合流する。
 そのまま上流に向かって道なりに進めばよいが、平坦だった道が登りにさしかかったところで右手に製材所が現れるので、その先を右折し小さな橋を渡る。見落として直進してしまいそうだか、月ヶ谷温泉の表示があるのでこれに従う。
 橋から峠までは距離にして約6km、平均勾配は8.0%。那賀川水系と勝浦川水系を隔てる尾根を越えていく道はそれなりに厳しい。橋を渡って谷あいに進むと小さな集落があり、そこを過ぎると道は本格的な登りとなる。最初、真っ直ぐ谷の上流に向かって伸びていた道が左にヘアピンを描くと、その先にはうんざりする程の勾配が待っている。緑に囲まれた道はマイナスイオンいっぱいかも知れないが、とても森林浴などという気分ではない。山の中に一軒だけある民家を過ぎて周りの木々が開けると少し楽になる。だが、登りはまだまだ続く。激坂というほどきつい箇所はないかわりに平均してきつい。峠が近づくと「がんばれ、あと500m」という看板が立っている。激励の看板があるのは県内でもここだけ。まさかサイクリストのための物ではないと思うが…。峠の標高はほぼ700m。下界との温度差は約4度になる。
 ここから北側は上勝町で道は最初緩やかに下って行くが、最後はかなりきつい坂になっている。上勝側から登る場合は距離が約6.5kmで平均勾配は7.7%だが、最初きつくてあとはダラダラという感じ。山道を下りきった所は月ヶ谷温泉の入口で、あとはそのまま勝浦川沿いに徳島方面を目指せばよい。