傍示ー樫原

Cycling Course Guide


彩の里をめぐるツーリングコース

上勝の代表的なコースといえば八重地トンネルや美杉峠が挙げられる。 これらは定番の練習コースだが、ここに紹介する傍示から樫原へのコースは練習よりもツーリング向き。 ただし、アップダウンに富んだ健脚向きのツーリングコースである。 主な上りは2箇所。どっちも距離は短いが、勾配がきつい。 認知度が低いせいか、このエリアでは走る人の少ない穴場的コースながら、上勝らしい景観に恵まれたお勧めコースである。 コース中には林道が含まれており、一部コンクリート舗装の箇所もあったりで、ランドナーが似合いそうな箇所が多い。 しかし、県内の山道に慣れていればロードレーサーでも特に問題はない。

いて座造船所へ

 県道16号徳島上那賀線で上勝へ入り、傍示トンネルを抜けるとすぐに右折、傍示谷川沿いに進む。 学校跡に立てられた町営住宅を通過し、傍示谷川を渡った先に再び分岐が現れる。 道標があり、直進は「鶯中央」、左折は「スーパー林道・神山」、その下に「いて座造船所」と書かれているので、ここを左折。 すると急勾配の上り坂が始まる。 看板の地点から、いて座造船所までの距離は2.1kmで平均勾配は約9%。 きつい坂だが、上るにつれて徐々に視界が開けてくる。 その景観はなかなかのもので、大川原〜婆羅尾へと続く山並みがヒルクライムの苦しさを忘れさせてくれる。 いて座造船所までたどり着いたら、小休止して展望を楽しもう。 この船のオブジェは2007年の第22回国民文化祭(おどる国文際)のために創られた日比野克彦氏の作品。 何もなかったところに新たな名所ができた。

傍示トンネル
分岐1
いて座造船所
傍示トンネルを抜けて右折
スーパー林道・神山の方へ
いて座造船所

棚田へ

いて座造船所から先はほぼ平坦。 300mほど進むと分岐が現れるので、ここを左に取りって下っていく。 下りきったところは剣山スーパー林道の起点から約1.6km奥へ入った地点。 ここからは下流へと向かうが、500mも走らないうちに林道生実八重地線基点の看板が現れるので、そちらへ進む。 再び急な上り坂が始まる。下り終えたと思ったら、すぐに次の上りというわけだ。上り始めて1kmほどで展望が開けてくる。 眼下にはスーパー林道基点の角屋橋が見える。標高約360mの地点で、間もなく中瀬津の集落となる。 ここの民家は急斜面に張り付いている。 その民家に向って急坂がまっすぐ伸び、家の下の擁壁で左右に分かれている箇所がある。 右が本線ぽいが、ここは狭くて頼りなさそうな左の道へと進む。

林道生実八重地線の看板
林道生実八重地線からの展望
中瀬津の分岐
林道生実八重地線の案内板
写真中央下がスーパー林道起点の角屋橋
中瀬津の分岐 白っぽい擁壁を左へ

山の中腹に広がる里を抜けていく。急勾配でクルマ1台が通るのがやっとの幅しかない曲がりくねった道。 上勝の幹線道路である県道16号が、いたるところで拡幅・バイパス化が進んでいるのとは対照的である。 改良された道路は路面もきれいで、練習で走るには都合がいい。 しかし、クルマのために作られた大きな道路は自然に溶け込むことなく、温か味も感じられない。 それに対し里の道は狭く、落石や舗装の傷みが見られることがあるが、生活道としての素朴な温か味を感じることができる。 それこそが、このコースをツーリング向きとする所以である。

中瀬津から谷の奥へ奥へと上っていくと、左側の谷間に棚田が現れる。 ここは府殿の棚田で、上勝に点在する棚田のひとつ。 ここらへんで、小休止して棚田の景色を眺めるのもいい。 季節ごとの山里の表情を間近に感じることができるだろう。 では、このコースを走るのに最も適した季節はいつだろう? 春の田植えのシーズンもいいが、彩の里としては秋も捨てがたい。 毎年11月初旬には地区内の三所神社で秋祭りがあり、祭囃子が谷間に鳴り響く。 笛や太鼓の音色を聞きながら、ペダルを漕ぐのも一興ではある。

棚田を過ぎると道は杉林に囲まれ、視界が閉ざされる。1kmほど林の中を上っていくと峠が現れ、視界が開けてくる。 ここが樫原。標高約650mの地点で、道路の右には山犬嶽の登山口、左には「三体の月」の秋葉神社がある。 林道生実八重地線の基点からここまでは約3.8kmで平均勾配は約10%。

分岐2
府殿の棚田
樫原の棚田
間違えやすい分岐、ここは右の細い方(中瀬津)
府殿の棚田
樫原の棚田

山犬獄の登山口を過ぎると次は急な下り。 1kmほど下ると有名な樫原の棚田が現れる。 観光ポイントとしては府殿よりもこちらの方が知名度が高い。 週末ともなればアマチュアカメラマンの姿を見かけることもある。 棚田からは山腹をトラバースして野尻の集落へと至る。 野尻からは県道16号へ一気に下りてくる。 そこは上勝町役場にほど近い地点、月ヶ谷温泉の上流である。 あとは県道16号で帰路をたどる。 時間に余裕があるなら、途中で月ヶ谷温泉や日浦ロードオアシスに立ち寄るといい。

なお、旭から樫原へ至るルートがあるが、野尻−樫原の道との合流地点まで約1.6kmで平均勾配13.3%という急坂になっている。 その間には立ち漕ぎでしか上れない劇坂区間があり、相当手ごわい。試練の坂といえそうだ。

傍示−樫原マップ

距離:マップの周回コースで 約28km  徳島市内からの往復で 約90km
コース難易度:3  体力レベル:3