スポレクがチャレンジサイクルに代わって2年目。
朝まで雨が残ったせいで棄権者が多くてちょっと残念でしたが、今年は100人近いエントリーがあり、このところの自転車人気の高さを窺わせるものでした。
前夜から降り続いていた雨は出走する頃には止んできました。
しかし、陽射がないせいかちょっと肌寒く、待機中はウォーマーを付けるか、上に一枚羽織ってちょうどいいくらい。
敢闘門裏のスペースにはお馴染みの顔ぶれが集まり、終始和気あいあいとした雰囲気に包まれていました。
競技以外でも、競輪場での一年ぶりの再会を楽しむというのも、この大会の楽しみのひとつとなっているようです。
最初の種目はハロン。
200mのタイムを競います。
ハロンとは長さの単位で約200mのこと。
自転車の種目の中では最も短い競技で、陸上競技の100mに相当します。
今回のハロンはピストのみの種目で一般の出走者は少なかったのですが、走り方にはちょっとしたコツがあり、なかなか面白い競技です。
ゼロ発進から200mまでではなく、実際に走るのは400mトラックなら2周。
タイム計測をするのは最後のバックからゴールまでの半周で、それまでの1.5周は助走になります。
まず、競技者はホームからスタートし、半周走ったらバンクの外周部へ上がっていきます。
第4コーナーからホームストレッチへ下りを利用して加速、勢いで第1コーナーを駆け上がり、第2コーナー出口から第3コーナー目掛けて一気に駆け下ろしま
す。
あとはそのままゴールラインまでの半周を全力でもがくだけです。
タイムは私たちホビーレーサーのレベルでは14秒台なら平凡。
13秒台が出たら、まずまずのタイム。
12秒台だとゴールスプリントで勝てるだけのキレがあるといっていいかと思います。
バンクの上からの駆け下ろしなど、1000mや2000mではありませんから、それだけでも体験してみる価値は十分にありますし、レースでの入賞を目指
す人なら磨いておいて損はない競技でしょう。
また、力はあるのにスプリントのバランスが悪くて損をしている人はスムーズにもがけるようになるだけで随分とタイムが短縮されるはずです。
次の種目は1000m。
走り方はハロンよりも単純。
ゼロからスタートして1000mを出来るだけ速く走るだけです。
走行ラインも終始いちばん内側をキープするようにします。
自転車の1000mという距離は陸上競技でいえば400mと800mの中間くらい。
短距離というよりは少し中距離にかかった種目です。
走り方が単純とはいえそれなりにコツがあり、上手く走るのと、ただ漠然と走るのとではずいぶん違います。
スタートと同時に立ちこぎで加速していき、そのまま加速しながらコーナーをクリア。
次のストレートでトップスピードまでもっていきます。
サドルに座るのは大体ストレートの真ん中あたりから次のコーナーの入口直前になります。
立ち漕ぎでスムーズに加速するためにはハロン同様、重心の位置など、ある程度バランスが取れている必要があります。
トップスピードまで加速した後はできるだけスピードを維持して最後まで走り切るようにします。
とはいえ、元気なのは最初の1周だけ。2周目に入るとスピードが落ちてきます。
速筋が売り切れて動かなくなってくるからです。
後はひたすら耐えながら足を回すのですが、最後の半周は腿がパンパンになって、メチャメチャ辛いです。
走り終わったら倒れこんでしまうくらいくたびれ果ててしまいます。これが1000mTT。
タイムとしては私たちのレベルでは1分25秒が切れたらまずまずで、20秒が切れたらかなり速い方です。
チャレンジで一般の上位は大体このあたりのタイムより上になってきます。
なお、ロードでも登録競技者になれば、15秒くらいは出します。
ちなみにTOKUの店員のW田君は選手時代には10秒を切っていたそうです。
最後の種目は2000m個人追い抜き。
一般的には4000mで競われる競技です。
走り方は1000mと似ていますが、距離が長くなる分、持久力が要求されます。
普段ロードで走っている人なら1000mよりも走りやすいかもしれません。
1000mではかなりのエネルギーをスタートに費やしますが、2000mになれば当然のことながらスタートは抑え気味でいかないと最後まで持ちません。
それでも、スタートでスムーズに加速することは重要で、バランスのいいダンシングは欠かせません。
きれいに立ち漕ぎができたら少し力を抜いても結構スピードは出るものです。
スタートでどれだけスムーズにトップスピードまで持っていくか、そして、そのスピードをいかに上手く維持するか。
ペース配分は違っても、1000mと2000mでは基本は同じといっていいと思います。
アベレージ40km/hで走ったら3分。チャレンジでは、まずこの3分を切ることを目標にすればいいでしょう。
今回は天候の回復と共に徐々に風が出てきて、2000mの頃にはホーム側が向い風となっていました。その分バック側は追い風になるのですが、実際には昨
年のタイムを下回る者が多かったようです。
なお、この他にも4000m速度競争、ケイリン、小中学生、女子、幼年などが行われました。
ロードレースでも同様なのですが、辛いときは自分だけでなく他の人達も同様に辛いのだと思って、できるだけ粘ることが大切です。脱落
することは他の競技者に負けるというより、自分に対する敗北感を味わうもの。タイムを競うトラック競技でも、目標のタイムを下回るとやはり敗北感を味わい
ます。そうなりたくなくて各自頑張るわけですが
、体の方では酷使されると筋肉を痛めないためにある種のリミッターが働きます。
それは足がパンパンになったりする疲労感なのですが、実はそのリミッターを解除する薬があって、それはアンフェタミンなどの非合法な麻薬です。
ドーピングの中では最も危険な部類になります。
アンチドーピングの最初はこのような過激な麻薬系のドラッグが対象でした。
もちろん私たちには手出し無用のものですが、極めて稀に薬なしでリミッターが外れることがあります。
火事場のクソ力というやつですね。 なんとかこれをレースの本番で出せないかと思うのですが、未だにに良い方法がわかりませんでした。
しかし、今回のチャレンジのときちょっとヒントになるものがありました。
私たちが待機していた時、選手会の建物からプロが何度も声を張り上げて気合いを入れているのが聞こえてましたが、プロはああやって興奮させて脳内麻薬の分
泌を促しているのではないでしょうか?
ひょっとすると私たちでも何回も声を上げて気合いを入れたら、良い結果が得られるかも知れません。
そこで来年はみんなで出走前に気合いを入れてみてはどうでしょう?
「おっしゃー!」「おりゃー!」「♯♂★※!」
でも、待機中のオッサンたちがあちこちで気合いを入れて興奮し始めたら、かなり異様な光景になってしまいますね。